クラウドベースのポストプロダクションプラットフォーム Forbidden Technologies “FORSCENE”
2000年に入って放送・映像事業に課せられた課題は、何といってもテープレスだったと思います。
なぜテープレスにする必要があったのか、、、送出用カートマシンが製造されなくなったから…..違います。でも思い返せばカートロボットのテクノロジーは今となっては逆にスゴイと感じてしまいます。。
コホン、まずリニア編集室を構築するのに1室1億円が珍しくなかった時代にノンリニア編集機が現れて、1千万円程度で構築できるようになって。そして世間はバブルが弾け続けてコストカット時代に突入して..。
テープ購入コストを削減する!、という稟議を通しやすい名目で、導入が盛んになりました。
でもファイル運用には容量やフォーマットの技術的な問題、またライブラリなどの管理方法で頭を悩ませることが多く、手放しで喜べないものでした。
例えばスポーツや報道ではレンダリングを待ってる余裕もなく、テープの方が早いし確実、という考えをなかなか拭えませんでした。
先日、Sonyは業務用ハーフインチVTRおよびハーフインチカムコーダー販売を2016年3月で終了することをリリースしています。
もう、ヘッドを拭くこともなくなるのかと思うと寂しくもありますが、1インチや2インチVTRの運用をしたことが無い筆者が言うには浅はかなことです。
そんなこんなで今回は、今訪れている波、“クラウドベース” でのポストプロダクションプラットフォームを紹介します。
Forbidden Technologies “FORSCENE”
プレイアウト前までのワークフローとMAMと呼ばれるコンテンツ管理を統合したプラットフォームをクラウドサービスとして提供するものです。
今までもMAM(メディアアセットマネージメント)といった提案はいろんなメーカーで提案されていましたが、編集やロギングなども含めてクラウドでっていうのはまさに今どきのサービス提案です。
クラウドで編集って言ってもあまりピンと来ないですが、GUIを見るとほ~と思います。
なんとなくですが、出来そう感は伝わります。ForsceneはYoutubeにチャンネルを持っていてトレーニング動画が結構あります。興味がある方はそちらも覗いてみてください。
Forsceneは既に実績もあって、イギリスの民放局のITVに導入されているようです。
上図を見ると、実際にはすべてクラウドである必要はないことがわかります。AvidやEditshareといった制作サーバーとの接続がなされるので、完パケ制作は既存のワークフローで良いことになります。
じゃあクラウドにする理由は何にあるのか…..
Anywhere、Anytime、なんていうのは四六時中仕事せいって言われてるような気もするので、ちょっと受け入れがたい気もします。じゃあ何がしっくりくるのか。
それはファイル運用との相性、もしくは性質にあると思っています。
テープ運用だった頃、ライブラリに行けば目で見て探し当てることができました。たまに誰かのデスクの上に放置されて無かった場合でも、“アイツに違いない”と想像して奪いに行くことも。
またもしテープが破損したり切れたりしたとしても、修復すればゼロになってしまうことは少ないです。
その点、ファイルは1個1個をディスクなどに入れない限り物理的に手にすることはできません。いや手にする必要が無いといった方が正しいです。
そしてテープとの最大の違いは、パッと消えてしまうことです。
….当たり前のことしか言ってませんが、ただクラウド利用に関して、ここが重要と考えています。
要はファイルは手元にある必要が無く、どこかにあれば良くて、逆に手元にあればあるほど“パッと消えて”しまう確率が高くなる、と言えます。
もちろんクラウドだって完璧に保障してくれるサービスは無いでしょうけど、全部ローカル設備でファイル運用する方がずっと危険性が高くなります。
ファイルベースが始まった当初、クラウドなんて言葉や意味なんて考えもしませんでした。ですが、クラウドを利用してこそ、テープレスが完結するのでは無いか……
そんな考えをここ最近するようになったのでこちらの記事も是非!!